読むと役立つ連載コラム

長瀬真利雄税理士事務所 税理士 長瀬真利雄

こんにちは。長瀬と申します。私は、大学卒業後、広告代理店や経営コンサルティング会社などで主に企業様の業績アップのお手伝いをしておりました。
その後、会計事務所に転職しこの業界に入ったのですが、当時、経理の現場を見て最初に感じたことは「本当に無駄が多い!」ということです。
特に、これから起業される方には、経理業務をできるだけ軽くして本業に集中して頂く必要がありますので、是非参考にしてみて頂ければと思います。

経理業務はできるだけ軽くして本業に集中!  長瀬真利雄税理士事務所 税理士 長瀬真利雄

第五回 仕訳は入力するものではありません

経理というと、何らかの取引があったら、それを仕訳に直して、会計ソフトに入力するというイメージをお持ちの方が多いのではないかと思います。仕訳とは、あの「貸方」とか「借方」とかがあるやつです。実は、ここに大きな無駄が発生しています。よくあるケースとしては、同じことを何回も入力しているというものです。

例えば、「社長が使った経費をエクセルに社長自身が入力している。」という場合を考えてみましょう。この場合、従来の一般的なやり方では、社長が入力したエクセルをプリントアウトして、それを見ながら誰かが会計ソフトに仕訳入力するという流れになりますが、ここで2重入力が発生します。何故、2重入力になるのかというと、社長が入力したエクセルのデータと、誰かがそれを見て作成した会計データの情報源は同じだからです。

現場で管理しているデータと会計で取り扱うデータは情報源が全く同じであっても、何故か全く違う情報として認識され、現場用と会計用に2回作らなければならないのではないか?と思われているケースが非常に多く見受けられます。本来であれば、一度データ化された情報は、目的に応じて様々に加工され、様々な用途に活用するというのが理想的です。

先ほどの例でいうと、会計データを作成するという目的のために、社長自身が入力したエクセルデータを加工して会計ソフトに取り込む、というのが自然な流れとなります。同じように、現場で管理用にデータ化されている、支払い管理エクセルや、入金管理エクセル、各従業員の経費精算エクセルなども上記と同じような取扱が可能です。

このような流れをきちんと作ろうとすると、いわゆる「業務設計」をきっちりとしなければなかなか一筋縄にはいかないというのも事実です。一方で、きちんと業務設計をするのが面倒だからといって、同一の情報に対して、いつまでも2回以上の入力作業をすることは非常にもったいない話になります。つまり、このまま無駄に、自社の経理要員の人件費や会計事務所等への入力費などを払い続けるのと、一度きちんと業務を見直して経理業務の効率化を図るのとどちらを選択しますか?ということです。

実際、一部の進んでいる会社様(大手企業の一部や多くのベンチャー企業)では、上記のようなやり方を積極的に取り入れ、経理コストを大幅に圧縮しています。当然、コスト圧縮効果だけでなく、不正な経理処理の防止や入力間違いの防止をはじめ、変化の激しい国際会計基準適用への対応や、より高度に求められるコンプライアンス基準への対応等といった目的もあります。

一方で、一般的な中小企業においては、上記のようなやり方はあまり進んでいません。その大きな理由のひとつとして、多くの会計事務所が会計データの取り扱いが苦手である(=ITスキルがあまり高くない。)という点と、経理を「業務」として捉え、それらを「改善」するという発想を持ち合わせていない(=経理の現場を知らない。そもそも興味がない。)という点があげられます。

これから会社を始めようという方、すでに会社は立ち上げたがこれから大きくしようとされている方は、できるだけ早い段階から、経理業務をきっちりと構築されることをお勧めします。また、既にもう何十年も事業を行っているという方は、是非この機会に自社の経理業務を見直してみませんか?結構、無駄なことが平気で行われている場合が多いです。

ちなみに、私が関与したクライアント様では、既存の税理士顧問料も含め、経理コストが月額数十万円安くなったケースも多くあります。経理にお金をかけても1円も儲かりません。

特に不況と言われるこの時代、無駄なコストは徹底的に削減し、前向きな事業投資に充てられることをお勧めします。仮に、経理コストが月額で10万円節約できれば、年間で120万円の余裕ができます。小規模なネットビジネスであれば、アイディア次第で結構良い感じの新規事業が始められますよ。

次回は、「第六回 経費になるか?ならないか?で悩まない!」をお送りします。